19度目の挑戦にして、ついに福永祐一がダービージョッキーになった。 検量室前で出迎えた友道康夫調教師は、ハンカチで目元を拭った。これが馬主として史上最多のダービー4勝目となり、淡々とした受け答えで知られる金子真人オーナーの目にも涙があった。 他馬の関係者やマスコミ関係者も拍手を贈った。「競馬の祭典」と言われる日本ダービーならではの光景だ。 「ふわふわして、地に足がついていない感じがします。これまでもGIを勝たせてもらっていますが、こんな気持ちになったのは初めてです」 涙は乾いていたが、珍しく、声がかすれていた。そのくらい、福永にとって特別な勝利だった。 「平成最後のダービー」となった第85回日本ダービー(5月27日、東京芝2400m、3歳GI)を、福永祐一が騎乗した5番人気のワグネリアン(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。1番人気に支持されながら7着に敗れた皐月賞の雪辱