地方の企業の一部門に過ぎない我々宇部興産の機械部門が,なぜ,遠く米国のフォード社やGM社の懐に飛び込んだのか。その理由は実にシンプルで「メシを食うため」である。第二次世界大戦で焼け野原状態となった日本は,奇跡的な復興を遂げた。その復興を力強く牽引した昭和30年(1955年)代の半ばから始まった日本の高度経済成長が,昭和48年(1973年)のオイルショックでぱたっと止まった。 今,日本企業は平成20年(2008年)9月に米国で勃発した金融危機に端を発する世界不況のただ中にあるが,オイルショックが日本経済に与えた影響は,それ以上かもしれない。何しろ,鉄鋼1億t,セメント1億t,自動車1000万台,住宅180万戸に膨れあがった日本市場の需要を満たすべく爆発的に増やしてきた生産能力が,このオイルショックを境に一気に生産過剰に陥ったからだ。もうこれ以上,日本市場には必要のないレベルになってしまったの