2020年1月28日のブックマーク (1件)

  • 無意味さを飼い慣らす - 傘をひらいて、空を

    彼のことは左利きだと思っていた。同じ部署ではないが、私よりひとまわり以上年長の、社歴の長い人なので、私が先だって管理職に就いてからはいくらか接点がある。ペンも箸も左手で持っていた。だから左利きなのだと思っていた。 今日の会議で彼がちょっと複雑な説明をはじめ、立ち上がって「じゃあホワイトボードに書きます」と言った。そしてすらすらと図解した。図がうまいなあと思って、それから、あ、と口に出してしまった。彼は右手で図を画いている。 会議が終わったあと部屋を出ると後ろから彼が出てきて、言う。さっき、あ、って言いましたね、あ、って。マキノさんって思ってることだいたい顔とか声とかに出ますよね、僕は嫌いじゃないですが。 失礼しましたと私は言う。どうということはないんです。ただ、左利きでいらっしゃるものと思っていたので。彼は笑って、右利きですとこたえた。 マキノさんはたしか四十かそこらですよね、それならもう

    無意味さを飼い慣らす - 傘をひらいて、空を
    Khvost
    Khvost 2020/01/28
    読んでるうちに「あ、これはなんか面白い話になるな」と思ってコーヒーを淹れてから読み直した。