事件記者にとって一番つらいのは、捜査当局の動きを言葉通りに寝食を忘れて追いかけ、懸命の報道を続け、その結果が「無罪」となることです。日本長期信用銀行の元頭取ら3人が粉飾決算をした罪に問われた事件は、2008年7月18日の最高裁判決で逆転無罪となります。逮捕された幹部以外にも自殺者が2人出ました。捜査が続いていた頃から、罪に問うのは難しいとの見方が根強くありました。そうした声を報道に生かし切れなかったことは悔やまれます。 5月6日(木)長銀の元頭取が宿泊先のホテルで首吊り自殺。わずかだが面識はあっただけに落ち込む。失礼な質問をしても決していやな顔をせず応対してくれた。頭脳明晰、人格円満、包容力のある人だった。59歳。疑獄事件のたびに繰り返されてきた悲劇。この日本の自殺文化はなんとかならないものか。5月27日(木) 毎日と東京が長銀捜査大詰めと報じる。日曜日あたりから各紙とも連日「きょうにも着