※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 和文教科書. 7之巻 宇治拾遺物語ぬきほ - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 易の卜《うらな》ひして、金取り出《い》だす事、 旅人の、宿求めけるに、大きやかなる家の、荒《あば》れたるが、有りけるに、寄りて、「此処《こゝ》に、宿し給ひてんや」と、言えば、女聲にて、「良き事、宿り給へ」と、言えば、皆、下《お》り居にけり。 屋大きなれども、人の有りげもなし。 たゞ、女一人ぞ有る気配しける。 かくて、夜、明けにければ、物食ひ認《したた》めて、出でゝ行くを、此の家に在る、女、出で来て、「え出で在《あら》[おは?]せじ、止まり給へ」と、言ふ。 「こは、如何《いか》に」と問へば、「己《おのれ》が金、千両負ひ給へり。其の辨《わきま》へしてこそ、出で給はめ」と言えば、此の旅人 従者《ずんざ》共《ども》、笑ひて