個人客のマーケティング活動に集中する、旅館を所有せず運営に特化する――。星野リゾートがリゾート業界で独自のポジションを築けている背景には、「やめる」ことが得意な経営がありました。やめることによるデメリットを考えると、これまで続けていることはなかなかやめられないもの。しかし、星野氏はやめることには大きなメリットもあると語ります。連載第77回に続き、星野氏の経営哲学を詳しくうかがいます。 リスクばかりではない 「やめること」のメリット 星野佳路(ほしの・よしはる) 1960年生まれ。長野県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、1986年米国コーネル大学ホテル経営大学院にて経営学修士号を取得。91年1月、星野リゾートの前身である星野温泉の社長に就任。以来「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げ、圧倒的非日常感を追求した滞在型リゾート「星のや」をはじめ、全国で宿泊施設、スノーリゾートを展開して