ヘルマン・ヘッセへの旅 JOURNEY TO HERMANN HESSE■ヘッセの人生とゆかりの地・ カルプ/マウルブロン修道院/チュービンゲン/バーゼル/ガイエンホーフェン/ベルン/モンタニョーラ ■ペーター・カーメンチントの風景・チューリヒ/ミラノ/アッシジ日本人にはヘッセ好きが多いというが、そういう人に直接出会ったことがないのは残念だ。ファンは私よりかなり前の世代に多いのかもしれない。あんなにも自己の真実に根ざした、かつ美しい文章が書ける作家を、私はほかに知らない。ヘッセの人生とゆかりの地 ヘルマン・ヘッセは、1877年、南ドイツのシュヴァーベン地方にある小さな町、カルプで生まれた。 カルプはシュワルツワルト(黒い森)に囲まれた、ナーゴルト川がゆったりと流れる谷あいの町で、ヘッセは誕生から4歳までと、9歳から13歳までの間をここで過ごした。その期間は決して長くはな