「あのころは“科学”で満ちあふれていたなぁ……」。学研の「科学」も「学習」も購読していなかった筆者だが、理科の実験ではカエルの解剖をしてみたり、ジャガイモの切断面にヨウ素液をたらしてみたり、いろいろな溶液にリトマス試験紙を入れてpHを測定してみたり。思い出してみると、いつでもすぐそばに“科学”があったような気がする。 昆虫採集に出かけて、捕まえた虫を標本にしたこともあった。スルメをえさにザリガニをうんざりするほど釣り上げて、持って帰ったはいいものの、すぐに全部死なせてしまったこともあった。カマキリの卵を家に持ち帰り、ふ化してクモの子を散らすように部屋の中を走り回る幼虫の数の多さに大あわてしたこともあったっけ。 それが今はどうだ。ビーカーやフラスコを使うことなどあるはずもなく、ゴキブリを見つければ逃げまどう。まあ、ゴキブリは子どものころから苦手だったが、普通の虫ですら今はもう触りたくもないと