『柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語』著:柳原三佳---事故被害者の水島紀夫さん、納子さん夫妻のインタビュー 11月20日、悪質事故の刑罰を強化するための新たな罰則を盛り込んだ「自動車運転死傷行為処罰法」が、参議院本会議で可決・成立した。交通事故遺族の声を受けて「危険運転致死傷罪」(最高懲役20年)が新設されたのは、今から12年前の2001年。しかし、実際にはかなり悪質な事故でもこの罪が適用されないケースが相次ぎ、疑問の声が上がっていた。 新法案成立と時を同じくして上梓された『柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語』(柳原三佳著・講談社刊)では、2010年に東京・田園調布で起こった、極めて悪質な運転による7人死傷事故を取り上げたノンフィクションだ。交通事故遺族が直面する現実、危険運転致死傷罪と刑事裁判の限界などが描かれ