5月5日、国民栄誉賞授与式、松井秀喜引退セレモニーの後に行なわれた始球式。松井氏は、長嶋茂雄氏から球の高さを指摘され、思わず苦笑。 今のイメージにそぐわないが、そう受け取られる気質を持っていたというのもわからないでもない。 松井は決して群れない男だ。巨人時代もチームメイトと食事に行ったりすることはほとんどなかった。いわゆる「一匹狼」である。 先輩などに元気よく「おはようございます!」と言えるようなタイプでもない。そして、何度となく報道されたように遅刻癖もあった。それを「わがまま」と解釈する人がいたとしても不思議ではない。 しかし巨人時代、シーズンオフに練習パートナーを務めていた元打撃投手の北野明仁はこう言う。 「僕と練習をしているときは一度も遅刻してきたことがなかった。5分ぐらい遅れるにしても、必ず電話があった」 北野の中にいる松井は誰よりも時間に律儀な男だった。 松井も自分ひとりのために