6月4日、3人の憲法学者が国会で、政府が国会に提出している「安保法制」について“違憲表明”した。その後、政府は火消しに躍起になり、安倍首相も6月8日にドイツで記者会見して、砂川事件の最高裁判決を根拠にして安保法制の合憲性を強調した。しかし、翌日に発表された政府見解は、砂川事件の最高裁判決に触れることはなく、専ら、1972年の政府見解を口実に安保法制の合憲性を説明しようとしている。両方とも無理筋であることは、すでにYahoo!個人ニュース「【安保法制】砂川最高裁判決と72年政府見解で揺れる安倍政権の矛盾」に書いた。 ここで重要なのは、政府見解を出す直前まで、安保法制の合憲性根拠について、政府の中でも見解を統一できておらず、出先のドイツにいた安倍首相のところまで、翌日の政府見解の骨子すら伝えられていなかった、ということだろう。政府がこの問題で動揺し、慌てていたことがこのことに現れているように思