東南アジアや南米などには、河川のはんらんで水田が水没しても、1日に20〜30センチのスピードで背丈を伸ばして生き延びる「浮きイネ」と呼ばれるイネがある。名古屋大などの研究チームは、浮きイネが水位を感知して背丈を伸ばす遺伝子を特定、20日付の英科学誌ネイチャーに発表した。研究成果は、稲作可能地域を増やすなど食糧問題に貢献できるという。 名古屋大生物機能開発利用センターの芦苅基行教授らは、イネが水没すると、エチレンという気体状の植物ホルモン濃度が内部で増加することに着目。浮きイネはエチレン濃度の増加を感知して働き出す2つの遺伝子を持っており、これが背丈を伸ばしていることを発見した。 これらの遺伝子は野生のイネにも存在したが、現在日本などで栽培されている品種にはない。浮きイネは通常の条件でも背が高くなり、風などで倒れやすいため、品種改良を重ねるうちに失われたという。 研究チームは、これらの