(フォレスト出版) 2008/7/26発売 およそ1年ぶりに、拙書の紹介をさせていただきます。 私は、経済学から発展した金融工学は実践的には役に立たないと思っています。このたった10年間において、金融恐慌が懸念される発端となった二つの大きな経済事件、すなわちロング・ターム・キャピタル・マネジメントの破綻とサブプライムによる損失問題に、いずれも金融工学が深く関わっていたからです。 金融工学が役に立たないのは、金融工学自体の短い歴史のなかでも証明されています。しかし、何故か金融の世界では、金融工学が未だに権威を持ち続け、その理論が金科玉条のように唱えられています。おそらくは、金融工学を否定すると、金融機関で売られている金融商品の大半が売る理由付けを失ってしまいかねないという状況が、そうさせているのかもしれません。 資産運用といえば、ただ国際分散投資型の投資信託を買えば良いという風潮が蔓延してい