甘利明経済再生担当相が28日の記者会見で閣僚の辞任を表明し、安倍晋三政権はアベノミクスの「司令塔」を失うことになる。何度も暗礁に乗り上げかけた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を大筋合意に持ち込むなど、その手腕には「余人をもって代え難い」と評価する声が政府内や市場で多い。名目国内総生産(GDP)600兆円を目指すアベノミクスには打撃となる。 同日の外国為替市場では、甘利氏が辞任を表明した直後、それまで1ドル=118円台後半で推移していた円相場が数十銭程度円高ドル安に振れる場面があった。市場関係者からは「これからのアベノミクスの求心力が低下することへの懸念が瞬間的な反応として表れた」(銀行系証券)との声が聞かれた。 甘利氏は2012年12月の第2次安倍内閣発足と同時に経済再生担当相に就任した。アベノミクスは金融・財政政策で景気を回復させ税収増で財政再建も行う考えを基軸としており、甘利氏