売り上げを伸ばそうと、社員に向かって「がんばれ」と叱咤激励するのは経営者として当たり前――。こう考える人は多いはずだ。しかし、ケーズホールディングスの加藤修一相談役は、「がんばらない経営」を掲げて業績を伸ばし、64期連続で増収を達成したこともある。 競争の激しい家電量販店でなぜ、ノルマなしでも手堅い経営ができるのか。働き方改革という言葉が普及する前から、残業や休日出勤を減らし、多様な働き方を用意するなど改革を続けてきた先駆者に「がんばらない」の真意を聞いた。 がんばるのは良いことだというのが一般的な認識だと思いますが、「がんばらない経営」を掲げています。 がんばるという表現は聞こえがいいですよね。でも、無理なことまで実現しようとするニュアンスが含まれるように私は感じます。 一時的に業績を伸ばしたいと考えるなら、がんばることはできます。しかし、長く経営を続けていくのであれば限界が来ませんか。