家庭教師の端くれとして再び学習産業にかかわるようになってもうちょっとで丸7年になる。「再び」というのは若い頃に出版業界の片隅の「学参」とよばれる分野で仕事をするようになり、20年ばかりその周辺で仕事をしてきた過去があるからだ。そういった「子ども騙し」の仕事と縁を切ってようやくせいせいしたと思ったのもつかの間、結局はそこに戻ってきた。だが、立ち位置はかなりちがう。 学習参考書・問題集のたぐいを編集する仕事は、ひたすら地味であり、ときには何週間もだれにも会わずに原稿用紙(やがてはパソコン)とにらめっこをするような業態だった。製品のユーザーである子どもたちと接することは(ごくまれに問い合わせ対応をするぐらいのこと以外では)基本的にない。ところが家庭教師という仕事は、毎日何人かの生徒と一対一で向き合う。こちらにその気さえあれば、子どもたちがどんな問題を抱え、どんなふうにしんどい思いをしているのかが