そのゲームは素晴らしい出来と呼ぶにふさわしい内容だったが、優れたタイトルが必ずしも売り上げに繋がるとはいえないこの世界の中で、セールスは振るわず在庫の山となった。そして制作会社は事実上解散し、作品は時間の流れに取り残されたように消えていった。 しかし、プレイヤーの分母が極めて小さいはずのそのゲームは、その分母をそのまま取り込むほどのファン層を獲得した。 会社が傾くほど売れず、プレイした人々を魅了し、そして今は環境的にも入手難度的にもプレイがほぼ不可能となっているタイトル。そんなタイトルを伝聞のみで“傑作”と表現してしまうのは簡単すぎるだろう。一度そのゲームに触れたプレイヤーたちの持つ熱量を単に“幻の”と形容するのも、表現が安すぎる。 では、この作品をどう表現するのがもっともふわさしいのか。 発売して25年を超え、あらゆる逸話を残しながらいまだ動き続ける推進力を保つゲームを形容するのにもっと