「とにかく、(J1に)残れてよかった」 取材エリアに出てきたサガン鳥栖の選手たちは、一様に安堵の表情でそう吐き出した。降格を回避する。残留だけが、そのゲームの目標だった。彼らはその使命を果たせたわけだが――。 サガン鳥栖がギリギリで残留できたのは、僥倖(ぎょうこう)だったのか? 最終戦で清水エスパルスに敗れ、肩を落とすサガン鳥栖のイレブン 12月7日、IAIスタジアム日本平。14位の鳥栖は残留をかけ、15位の清水エスパルスの本拠地に乗り込んでいる。16位の湘南ベルマーレが松本山雅に勝利した場合、当地の敗者は16位に転落し、J1昇格プレーオフにまわる。鳥栖は引き分け以上で自力残留を決められるが、引き分けを狙うのは実は難しい。 そこで鳥栖の金明輝監督は、決戦前に選手たちにこう告げている。 「今までのやり方を捨てる」 鳥栖は丁寧にサイドでポジション的優位を作って攻め崩し、バランスよく守る戦術を深