2016年4月5日のブックマーク (1件)

  • 三十代の余生 - 傘をひらいて、空を

    交通事故に遭った。乗っていた車が凍った高速道路でスリップした。前後左右に大型のトラックが走っていた。制御をうしなった自動車の動きを後部座席から見た。その数秒のあいだ、運転手は前後左右をみてより助かる確率が高い方向にハンドルを切っていたのに、その他の席の二名も(あとから聞いたら)助かる方法をそれぞれが必死に考えていたのに、わたしは、ああ、楽しかったな、と思った。楽しかったな。そのほかにはなにも考えなかった。 もちろん、わたしたちは生き延びた。全員が無傷にみえた(のちに一人だけが軽傷を負っていて、残りび三人は放っておけば消えてしまう痣だけですんだとわかった)。わたしたちはひとまずの安全を確保し、たがいのからだに軽く触れて身の安全をたしかめた。わたしたちは生きていた。わたしももちろん、生きていた。それだから、みんなと手分けをして事故の処理をした。他の車を巻き込むことがなくてよかったと思った。それ

    三十代の余生 - 傘をひらいて、空を
    LethalDose
    LethalDose 2016/04/05
    “余生、と友だちが言った。余生、とわたしはこたえた。”この部分好き。