「ブツを見ているとクロに見え、ヒトを見るとシロっぽく見えてくる。今の時点ではよく分からないから、しばらく見てみないと」――遠隔操作事件の裁判の行方について聞かれると、私はよくこう答えていました。 この写真はスマホではなく、小型ビデオカメラで撮った動画の一コマだった「ブツ」というのは、公判廷で示される検察側の証拠のことで、それを説明する証言も含みます。裁判を傍聴して、そうした証拠・証言を見聞きしていると、「これはクロではないか」という心証が強くなりました。ただ、被告人のPCハードディスクなどについては、弁護側の解析が行われている最中であり、反対尋問も行われていないので、その結果を見ないと、シロクロに関してはなんともいえない、と考えました。 一方、「ヒト」とは、片山祐輔被告のことです。彼の話を聞いていると、巧妙なウソをつける人のようには見えませんでした。感情表現が淡泊すぎて、無実を訴える言葉に