全国の高速道路で昨年に起きた75歳以上のドライバーによる逆走122件のうち63・1%が、運転免許更新時の認知機能検査で認知症や認知機能の低下のおそれがあると判定されていたことが警察庁の調査でわかった。 現行の道路交通法では免許取り消しにならず、そのまま運転を続け、逆走を起こしたという。認知機能の衰えが、危険な運転につながっている実態が改めて浮き彫りになった。 「家に帰る道がわからなくなった」。今年2月9日夜、香川県と愛媛県にまたがる高松自動車道を少なくとも80キロにわたって逆走を続けた男性(82)は、香川県警にこう話した。 男性はインターチェンジ(IC)で反対車線から進入し、対向車と接触するなど2件の事故を起こし、約2時間半後に県警に保護された。県警が後日、再度事情を聞こうとしたところ、事故直後のやり取りさえ忘れていた。男性はその後、病院で認知症と診断された。