日本のコミックや映画を原作にリメークすることが多かった米国のハリウッド映画界が、日本のSF小説に注目し始めている。来月四日公開の「ALL YOU NEED IS KILL(オール・ユー・ニード・イズ・キル)」(ダグ・ライマン監督)は桜坂洋さんの小説を原作に、トム・クルーズ主演で映画化された。日本の小説が国内での映画化を経ずに、いきなりハリウッド作品となる例は極めて珍しい。アニメやホラーの後塵(こうじん)を拝してきた日本SF小説の世界進出の先駆けとなるか。 (前田朋子) 原作は二〇〇四年に集英社から出版されたライトノベルで、異星人の侵略を受ける地球が舞台。出撃で命を落とすたびに出撃前日に戻る無限ループに迷い込んだ初年兵のキリヤ・ケイジが戦闘能力を身に付けて成長し、人類を救う物語だ。映画は主人公を戦闘経験ゼロの米軍広報担当少佐ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)に置き換えた。