想田和弘監督の『演劇1』『演劇2』の公開が始まった。 オフィシャル・パンフレットにちょっと長めのコメントを載せたので、それを転載。 たいへん面白い映画なので、みなさん見に行きましょうね! 『演劇1』『演劇2』、まとめて5時間42分を三晩かけて見た。たいへんに面白かった。何がどう面白かったのか、手持ちの映画批評の用語ではうまく表現できない。そういう種類の経験だった。 私は何であれinnovativeなものに対しては基本的に好意的な人間である。自分がそこで経験したことを記述したり、人に説明したりするためには、新しい概念と新しい言葉を自分でつくり出さなければならないという切迫を愛するのである。まだ見終わったばかりの、興奮さめやらぬ状態で、この映画のどこが私に切迫してきたのか、それについて書いてみたい。 この映画の「成功」(と言ってよいと思う)の理由は二つある。 一つは「観察映画」という独特のドキ