昔々15年くらい前にテレビで見た、あるおじいさんの話が忘れられません。 そのおじいさんは黒を愛していました。 持ち物は全て黒にこだわっています。 ポロシャツも黒、ズボンも黒、頭にフィットしたニット帽も黒、靴下も黒、トランクスも黒です。 手帳も黒、カバンも黒、靴も黒、とにかく身につけるものは全て黒色に決めています。 おじいさんは脚本家。名前がわからないのが残念。 一日中、家の屋根裏部屋の自室にこもって執筆しています。 テレビの取材班はその屋根裏部屋を訪れました。大量の本に囲まれた、秘密基地のような部屋です。 机があります。 鉛筆がトレーの上に山盛りになっています。 全ての鉛筆が三菱uni。濃さは全てB。ナイフで丁寧に削っています。 ノートも全てメーカーを決めています。同じのしか買いません。 おじいさんはおばあさんと暮らしています。 食事はおばあさんが作ります。 テレビでは朝食の風景を映してい