『永続敗戦論』を上梓して以来、各所から講演に呼ばれる機会をいただき、北海道から沖縄まで、さまざまな地方に出向く機会を得た。県庁所在地に呼ばれる機会が多いのだが、ほとんどいつも目にする同じ光景がある。県庁所在地の中心部には大抵その地域の農協本部の大きな建物が立っている。そしてそこには、「TPP(環太平洋連携協定)断固反対」の巨大な垂れ幕がかけられているのだ。 率直に言って、私はこれを見る度に、苦笑を禁じ得ない。私は心の中で呟く。「TPP断固反対、大いに結構である。だが、それを言うあなた方は先の総選挙で誰に投票したのか?」、と。実際、2014年の衆議院議員総選挙において、北海道の場合でも、12の小選挙区のうちの9つで与党が勝利しており、比例代表北海道ブロックでも与党の得票率は40%を越えていた。つまり、多くの有権者が政府与党を支持した結果が今年10月の「大筋合意」なのである。 もう少し時間をさ