オーディオ&ビジュアル。対として表現されることも多いこの2つの概念だが、映像は薄型テレビの普及でより高品位な映像が一般的となったものの、オーディオについては市場全体でみると活況を呈しているとは言い難い。しかし、市場として停滞感があることとは別として、新たな潮流も生まれている。 そのキーワードは「ステレオの復活」と「HDオーディオ」だ。 デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏による月イチ連載『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』。今回は評論・執筆活動のほか、大学(津田塾大学)で音楽理論の教べんもとる麻倉氏にオーディオの“今”を理解するために必要な2つのキーワードについて語ってもらった。 ――オーディオの市場全体ですが、テレビやレコーダーをはじめとしたビジュアル関係に比べて元気がないように感じられます。これはオーディオ全体の不況といえるのでしょうか。 麻倉氏: 確かにオーディオ「市場」は長い間、不況と形