『さらば雑司ヶ谷』『タモリ論』などのヒット作で知られ、最新刊『ドルフィン・ソングを救え!』も好調な小説家・樋口毅宏氏。そんな樋口氏がさまざまな媒体に寄稿してきたサブカルコラムを厳選収録した『さよなら小沢健二』が好評発売中。本書の発売を記念して傑作テキストを特別公開いたします! (当コラムは『週刊SPA!』2015年5月5・12日号に掲載されたものです) ’15年4月21日。記念碑的なアルバムが出てちょうど20年になる。そのアルバムはこの国の音楽シーンを変えた。何もかも変えた。アルバムの名は『若者たち』。サニーデイ・サービスのファーストである。このアルバムのどこがどう凄いのか。順に語っていこう。 一つ目。サニーデイはロックの時間軸、進化論を破壊した。 それまでロックは常に新しい表現でなければならなかった。ブルース→ロック→ハードロック→パンク→ヒップホップ→テクノ→エレクトロ……と(かなり大