遙から そもそも状況判断はヒトに可能か。マニュアルの登場からつきまとい続ける現場の葛藤だ。 思い返せば私もまた10代の頃、ハンバーガーショップでバイトした時の、いまだに後悔に苛まれるシーンがある。 今でもあの時の母親に謝りたい 窓口で若い母親が言った。 「子供が食べようとしたらハンバーガーを床に落としてしまった。もう一度、もらえないか」 私の対応は、今、書くだに忌まわしい。 「もう一度、ご購入いただけますか」 その時の母親の、失望した表情で再度小銭を出す姿は、今だに脳裏から消えない。 チェーン店は基本的にマニュアルの嵐だ。まず手を洗う、から始まり、さりげない営業トーク数パターン、そして金銭と商品の出入りには声を出す。 ところが「子供がハンバーグを落とした場合」というマニュアルはなかった。外国人が「ケチャップを要求した場合」というのはあるのに、だ。 発注と金額の発声は同時だ。困った私は客のほ