明治学院大学心理学部教授 佐藤眞一●1956年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学、医学博士。東京都老人総合研究所研究員、明治学院大学文学部助教授、ドイツでの研究生活を経て、現職。著書に『仕切りたがる人』(毎日コミュニケーションズ)など多数。 出水さんは無意識に自分を客観視してポジショニングを調整しているが、明治学院大学心理学部の佐藤眞一教授によれば、実はこの調整の技が重要だという。 「自分の振る舞いをもう1人の自分が見ていることを、心理学の言葉でセルフモニタリングといいます。自分を意識するもう1人の自分ですね」 つまりポジショニング上手とは、セルフモニタリングの能力に長けた人なのだ。しかし、セルフモニタリングが相手に見え見えだと、計算して振る舞っているように思われて逆効果になる。 「人間というのはおもしろいもので、『あの人は知性的だけど、性格が良くない』というふうに知性と