トヨタ式を代表する仕組みの一つに「見える化」がある。トヨタの生産現場から生まれた言葉で、異常があればラインを止めるといった、問題の所在を「みんなに見える」ようにする取り組みのことを指している。そして今、見える化は生産現場を離れていろいろな企業で積極的に取り入れられているが、なかには見える化の目的とかけ離れた「見せる化」も少なくないようだ。 美しいグラフを描くことが現場の「見える化」ではない 今はもちろんトヨタでもコンピュータを駆使しているが、かつてはコンピュータを使うとこう言って怒られたものだ。 「コンピュータは質問しないと答えない。何で現場を見えるようにしていないんだ」 データでものを見ることはもちろん大切だが、現場の仕事は打ち出されたデータを見てから手を打ったのでは遅すぎる。今、そこで起きている問題を「現行犯逮捕」して、すぐに改善するのがトヨタのやり方だ。 ある企業の工場を訪ねた時のこ