かつて大手電機メーカーは競って自前のチェーン店(街の電気屋さん)を育て、自社の製品を熱心に販売していたものだが、ある時期からスーパーや家電量販店に販売の多くを任せ、いつの間にか量販店のほうが強くなり、価格決定権を握られるという状況に陥ってしまった。メーカーにとって「モノを売る」ことは、「モノをつくる」ことと並んで、あるいはそれ以上に大切なことだ。モノを売ることを他人に委ねてしまうと、いつの間にか消費者との接点が薄れ、自社製品がその他大勢の中に埋もれる危険がある。 なぜテスラはアップルから人を引き抜いてまで直営店を展開するのか 今から10年くらい前のことだが、ある大手電機メーカーの幹部に「量販店を買収して自前の販売網を強化したらどうか」と提案したことがある。 もちろんすべての製品を自前で売る必要はないが、できるなら量販店の一つも自前で抱えてお客さまとの接点を強化してはどうかというのが筆者の提