山上憶良が万葉集でこんな歌を詠んでいる。 白銀(しろがね)も黄金(ごがね)も玉もなにせむに優れる宝子にしかめやも 解説はいるまい。子供に勝る宝はないと歌っている。今から約1300年前、当時の子供の数は現在よりはるかに少なかったようだが、人間関係はむしろしっかりしていたようだ。 今では連日のように子供が親に殺害されたり、虐待されたりする事件が起きている。近所同士が殺し合う事件も珍しくない。この歌が詠まれた頃は、電気も水道もない。今思えば想像を超えた貧しい時代であったが、家族の絆ははるかに強かったのではなかろうか。 過日、テレビを見ていると、女子高校生の4割が1日に6時間以上スマートフォンや携帯に時間をさいていると報道していた。多くの高校生や中学生が、平均数時間ネットを使っているという。コミュニケーションは十分とれているように見えるが、それは仮想空間の世界で、現実は顔と顔が向き合った真の心の交