県立図書館2館の閲覧・貸し出しサービスを廃止する方向で検討していた県教育委員会が21日、一転して閲覧機能を維持する方針を表明した。県民の意見が多数寄せられたことを理由としている。 知の財産の恩恵を、県民が引き続き受けられる見通しが立ったことを、ひとまず歓迎したい。だが一連の対応では、県立図書館に対する県教委の理念の希薄さが露呈した。貸し出しがどうなるのかも予断を許さない。その意味で今後に不安も残る。県教委は図書館の将来像を真剣に模索してほしい。 横浜と川崎に立地する県立図書館は、県内屈指の104万冊という蔵書を誇る。例えば川崎では1万6千冊という国内随一の社史コレクションなども有し、県民が直接手にとることで蔵書は生きた役割を果たし、県民の文化向上や経済振興に寄与してきた。 ところが昨秋、緊急財政対策に基づく施設見直し計画の一環として閲覧・貸し出しサービスの廃止を県教委が検討しているこ