アートビジネスの世界に身をおいていると、欧米では主要紙の一面を飾るようなアート界の大ニュースが、日本ではほとんど報道されていないことに驚く。 つい先日も、他でもない日本の老舗美術館がニューヨークで行われたオークションに中国美術を出品し、記録破りの高値を記録して関係者に衝撃を与えたが、日本でこのニュースを知る人はほとんどいなかった。それにはアートをめぐる日本独特の問題も影響している──。 明治の実業家藤田傳三郎は、DOWAホールディングス(旧同和鉱業)、大成建設、藤田観光等数多くの名門企業を輩出した藤田財閥の創立者であっただけでなく、著名な美術品収集家、茶人としても知られていた。藤田美術館(大阪市)は、その藤田傳三郎の東洋美術、茶道具を所蔵展示している、国内屈指の質を誇る美術館だ。 とりわけ国宝9点、重要文化財52点の中でも、曜変天目茶碗(国宝)は、世界に現存する3点のうちの1点で、その斑文
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