比較的有名な作家の人の話。 「国分寺に引っ越した。どうして国分寺かというとそこでジャズ喫茶を開こうと決心したからである。」 「資金のことを言うと、僕と女房と二人でアルバイトをして貯めた金が二百五十万、あとの二百五十万は両方の親から借りた。昭和四十九年('74年)のことである。 その当時の国分寺では五百万あればわりに良い場所で二十坪くらいの広さの、結構感じの良い店を作ることができた。」 「でも今ではそうはいかない。駅の近くで二十坪くらいのちょっと洒落た店をやろうと思ったら最低二千万くらい必要なのではないだろうか?」 「今、『金もないけど就職もしたくない』という思いを抱いてる若者たちはいったいどのような道を歩んでいるのだろうか?かつて僕もそんな一員だっただけに、 現在の閉塞した社会状況はとても心配である。抜け道の数が多ければ多いほどその社会は良い社会であると僕は思っている。」