■理性? メタフィクション? ──学習をはじめる皆さんのためのキーワード カント『純粋理性批判』/岩城見一『感性論』/巽孝之『メタフィクションの謀略』/由良君美『メタフィクションと脱構築』 そろそろ梅雨入りという時期になって「学習をはじめる」もなにもないだろう、と訝る方もいるかも知れない。だが今回は、学習をはじめてしばらくしてから気になってくる、そんなキーワードと文献を紹介することにした。たとえば、近代の哲学・美学の流れの中で使われる「感性」、「悟性」、そして「理性」。芸術学の勉強をはじめた皆さんの中には、美学史の書物や哲学史の書物に挑戦している方も多いと思われるが、まず最初に躓きがちなのは、これらの近世哲学以来の用語なのではないだろうか。『源氏物語』を読みはじめたはよいが「須磨」のあたりでなげだしてしまう“須磨源氏”と同じく、カントやヘーゲルのあたりで美学史を一休みというのは、わたしにも