私が実家に住んでいたのは高校までだった。浪人と大学時代は東京に住み、その後帰郷してからはなんとなく親と生活空間を別にしたくて、実家の近くの庭付き長屋を借りて住み、結婚して賃貸マンションに引っ越し、やがて市外に中古住宅を買って移り住み、そこがもう20年になる。 今は、老母が一人で住む実家を月1回くらいの頻度で訪ねている。昨日ふと思い立って、実家の写真を撮った(携帯なので写りはあまり良くない)。 ● この辺りが雑木林だった昭和30年頃に、父が建てた家。築60年近い。 「山小屋風」の家に憧れていた父の趣味で、屋根に急な勾配をつけ、外壁を丸太で覆っている。昔は大きな木々に囲まれた鬱蒼とした雰囲気で、口の悪い友達に「お化け屋敷」と言われた。 実家よりずっと後に建った近所の家々が軒並み建て替わりつつある現在、この近辺では少々異彩を放つ外観である。時々立ち止まって眺めている人もいるようだ。あまりに古色蒼