高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事] *** 恐れていたことが目の前のテレビの中で起こっていた。 国谷裕子キャスターが23年勤めたNHK「クローズアップ現代」の後継番組「クローズアップ現代+(プラス)」の第1回放送。 骨太なジャーナリズム精神に裏付けられた報道情報番組である「クロ現」だが、リニューアルの「プラス」では視聴率狙いの凡庸な普通の番組になってしまっていた。筆者がそう感じた点を以下に記す。 <1>取り上げたテーマが「プロ野球選手の賭博問題」である。 もちろん、社会的にも関心の高いデーマでるので、番組で取り上げても良いテーマではある。しかし、従来の「クロ現」の方向性から考えれば、第1回目で取り上げるべきものではないだろう。 つまり「多くの人が興味を持つだろう」という目論見がわかりやすく、その結果「視聴率が取れるだろう」というスケベ心が透けて見えてしまうのだ。 <2>調査報