作家の村上春樹さんがエルサレム賞を受賞した。 イスラエルによるガザ攻撃の後だけに、日本国内でも受賞は 攻撃の正当化につながるとの論議があった。 だが授賞式の記念講演で、村上さんは最前列に座るペレス 大統領を前に「壁と卵」の比喩を用いてイスラエルを批判した。 壁は強大な軍事力を持つ体制、卵はそれにぶつかり割れる 個人を象徴する。 そして「私は常に卵の側に立つ」と語ったのだ。 講演後、会場では大きな拍手がわき起こった。 歓声も上がった。 その場にいた私も感銘を受けた。 しかし、何か、もやもやが残った。 あえてイスラエルに来て、文学的表現で批判する日本の作家。 それを受け止めるイスラエル人。 知的な緊張と交歓。 そこに紛争の一方の当事者であるパレスチナ人、アラブ人は 不在である。 あまりに大勢が殺され、一人ひとりの人格が消えて「1300人」という 数字に置き換えられてしまうのと同じように。 パレ
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