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ブックマーク / azure2004.sakura.ne.jp (1)

  • 風流夢譚

    風流夢譚 深沢七郎 あの晩の夢判断をするには、私の持っている腕時計と私との妙な因果関係を分析しなければならないだろう。私の腕時計は腕に巻いていると時刻は正確にうごくが、腕からはずすと止ってしまうのだ。私は毎晩寝る時は腕からはずして枕許に置くので、針は止って、朝起きて腕につけると針はうごきだすのだ。だから、 「この腕時計は、俺が寝ると俺と一緒に寝てしまうよ」 と私は言って、なんとなく愛着を感じていたのだった。これは腕時計が故障しているので時計の役目をしないことになるのだが、それでも私は不便は感じなかった。私と同居しているミツヒトという甥は機械類が好きで、時計も高級なウエストミンスターの大型置時計を置いてあるからだった。 数ヵ月前のことだった。 「そんな役に立たない腕時計は」修繕した方がいいじゃァないか」 と弟にすすめられて、弟の知りあいの時計屋さんに持って行ったことがあった。

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