人前でゲームをするのは、躊躇いがある。僕は、携帯ゲームやソーシャルゲームを電車の中や公共の場所でしないことにしている。みっともなく思っているというよりは、後ろめたさがある。そして、その後ろめたさに固執してもいる。 子供の頃、僕の家では平日にゲームをするのは禁止だった。テレビゲームをしてしまうと絶対に怒られるので、自分の部屋でこっそりゲームボーイをしていた。親が気づいていないはずがないので、少しくらいならと黙認されていたのだと思う。はじめてやったのは、ポケモンの赤バージョンだった。 部屋の隅でこっそりやるポケモンだからこそ、独特のリアリティーを感じていた。一人で旅立った少年相応の心地よい孤独と高揚が、後ろめたさと共にあった。 僕たちは、本当にゲームの中を旅していたはずだ。移り変わる景色や、街の風情や、人との会話や、ポケモンとの出会いや、そこにある世界の空気を感じることができた。初代の、まだ色