当たり前の、何気ない、毎日の暮らしこそが尊く、美しい。そんなことに気づくのに40年もかかってしまった。今、僕は忘れてしまいがちな、素晴らしくもありふれた生活に花束を贈りたい。そう、マジで思っている。 今日、会社を休んだ。普段より遅い朝でも、いつもと同じようにフジテレビ系列の「めざましテレビ」。妻のお気に入りは愛犬紹介コーナー「今日のわんこ」。コーナーの始まりをキッチンにいる妻に知らせるのが僕の役目。「今日の○ンコ始まったよー」「はーい!○ンコ~ちょっと待って~」 僕はコーヒーをすすりながら、彼女はエプロンの裾で濡れた手を拭きながら画面を見つめた。画面の中で散歩する雑種犬。子犬時代の写真。ありきたりの幸せなエピソード。「この○ンコ、子供のときは白くて可愛いのに、なんで大人になると黒くなっちゃうんだろう?」彼女は言った。 僕は適当に相槌を打ちながら早起きして皮を剥いたタマ○○について考えていた