静岡市の田辺信宏市長は20日の定例会見で、JR東海がリニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区(静岡市葵区)の本体工事着手を要望した場合、県と合意に達していなくても市が林道の使用許可を出す方針を示した。田辺市長は「JR東海との基本合意書に従って一つ一つの件について判断していきたい」と述べた。 JR東海は、今月18日からトンネル建設に向けた準備工事として、同区田代の椹(さわら)島地区など3カ所に各250人収容できる作業員用宿舎の建設を開始。同市は14日、準備工事に限って工事に必要な林道の使用許可を出していた。 田辺市長は「交渉ごとなので10対0ということはない。私たちもJR東海とお互い立場がある中で、譲り合って合意文書にこぎつけた。県にもJR東海にもそういった努力を期待したい」とくぎを刺した。 工事をめぐっては、トンネルから湧き出た水の全量を大井川に戻すことを要求する県側と、減少した水量分