記者の余録 書けなかった“誠実さ”2008年5月11日 「○○病院に入院していた妊婦が分娩(ぶんべん)中、医療ミスのせいで胎児とともに命を落とした」―。数年前のある日、本社にこんなファクスが寄せられた。事件だと思い、事実を確認すべく当該病院の医師を訪ねた。 当初は難しい取材になると思ったが、意外にも当事者である医師が丁寧に対応してくれた。実際に分娩中の妊婦の容体が急変し、別の病院に搬送したが母子ともに助からなかったのだという。医師は起きたことは起きたこととして話をし、保身のための発言はしなかった。 医療ミスかどうか。その時点でいえたことは、警察が医師から事情を聴いているということだけだ。取材を続けていて分かったのは、その医師の患者に対するまじめな姿勢であり、常に患者との信頼関係を築く努力をしているようにも感じられた。記事にすべきかさんざん迷った。 結局、“ミス”には触れず「事実関係」
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