福島医大医学部の法医学講座は本年度から、警察から依頼を受けた「法医解剖」の際、亡くなった人が甲状腺がんを発症していたかどうかに関する研究を進めている。 甲状腺がんは一般的に発症しても生存率が高く、別の死因で亡くなった人の遺体から見つかるケースも多い。将来的に同大は、各医療機関の協力を得て県外でも同様の手法で発症頻度を調べて地域ごとに比較、東京電力福島第1原発事故に伴う放射線が甲状腺がんの発症に影響を与えたかを知る手掛かりにする考えだ。 研究では、遺体解剖の一環として甲状腺を摘出し、一定の厚さに切って標本を作り、肉眼や顕微鏡でがんなど異常がないか調べる。司法解剖など死因究明のために行う「法医解剖」は、県内では福島医大だけで行われている。子どもや大人まで対象が幅広いため、年間に約200件ある。このうち調査対象は、損傷により調べるのが困難なケースを除く半数以上の遺体。既に2013(平成25)年以