「時間結晶」という言葉からSF的なものを想像するかもしれない。実際それはSF的なものだ。時間結晶は研究者らが述べているように、新たな「物質の相」であり、固体や液体、気体、結晶といった相に追加される可能性がある新たな状態として数年前から理論研究が進められてきている。なお、この論文はプレプリントの段階であり、現在は査読を控えている状態だ。 時間結晶を見つけ出すのは一筋縄でいく作業ではない。しかしGoogleの科学者らは、今回の成果によって現在の量子プロセッサー上で時間結晶の研究を進めていくための「段階的に拡大できるアプローチ」が確立されたと胸を躍らせている。 時間結晶がなぜ興味深いのかを理解するには、物理学のちょっとした知識、特に熱力学第2法則に関する知識が必要となる。この法則は、孤立系で自発過程が進行すると、その系は「最大エントロピー」と呼ばれる状態に向かっていき、そこに落ち着くことを示して