吉本新喜劇のおもしろさは、どこにあるのか。それは観客との共感だ。芸人たちは常に観客の反応を確認し、「共感ポイント」を探してネタに手を加える。そのためには場面設定も重要だ。吉本興業の元広報マンの竹中功氏は「お客さんが想像しやすいように、舞台を新聞社から喫茶店に変えたこともある。“生”の経験に勘を加えて、即座に行動を変化させるのが大事」と話す。吉本芸人から学ぶ、共感の技術とは――。 ※本稿は、竹中功『他人も自分も自然に動き出す 最高の「共感力」』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。 吉本興業は寄席小屋経営からスタートした 私が在籍していた吉本興業という会社の基幹産業は、「寄席小屋経営」である。100年以上前に大阪の天満宮裏に小さな寄席小屋を手に入れた。それが創業期である。 その後、観客を増やし、小屋を増やし、それを繰り返した。そして、それに合わせて面白い芸人の所属が増え、お笑いがあふ