歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが酒席でけがを負い、舞台出演の無期限謹慎となった事件。連日芸能マスコミが取り上げ、海老蔵さんに加え、父の団十郎さん、妻の小林麻央さんまで追われる過熱ぶり。どうしてこんな騒ぎとなったのか。 東京の国立劇場で行われた、尾上菊五郎さんらの1月歌舞伎公演の記者会見は少し異様だった。ふだんは十数人の歌舞伎担当記者が集まる程度だが、13日の会見にはテレビカメラが並び、ワイドショーのリポーターが勢ぞろい。公演とは無関係の海老蔵さんの事件に質問が集中。不快感を隠さない俳優も見られた。会見の模様は夕方の番組で「海老蔵関連ニュース」として速報され、劇場職員は「都合良く使われた」とこぼす。 過熱報道の裏には、事件の主役が、将来の十三代目市川団十郎を約束された「歌舞伎界のプリンス」の海老蔵さんだったことがある。17、18世紀に活躍した初代は、そのカリスマ性で江戸庶民の熱狂的支持を集めた江