11月1 パリトキシンの話 最近、パリトキシンという猛毒を持った魚があちこちで捕獲され、ニュースになっています。フグ毒の数十倍の猛毒であり、食べたら半日で死に至るなどなどおどろおどろしい報道がなされています。魚の名は「ソウシハギ」というのだそうで、写真で見る限りなかなか毒々しい代物です。もともとは温暖な海に住む魚でしたが、地球温暖化の影響などで日本各地で見られるようになっているとのことです。 ソウシハギ(ウィキペディアより) この魚が持つ毒・パリトキシンは、有機化学の世界では大変有名なものです。下図に示すように、記録的な大きさと複雑な構造を持っているからです。化学式C129H223N3O54、分子量2680と、繰り返し構造を持たない天然物ではトップクラスのサイズを誇り、毒性の方も屈指の強烈さです。ご覧になっていただければ、炭素原子の鎖がずらりとつながった、特徴的な構造がおわかりいただけると