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pharmに関するNakadai_Labのブックマーク (6)

  • 抗生物質の危機(2)~魔法の終わる時~

    ☆抗生物質の危機(2) ~魔法の終わる時~ ペニシリンをはじめとする抗生物質が感染症の治療に革命を起こし、長いこと人類を苦しめてきた疫病の数々が影を潜めた--というところまでを前回お話しました。しかし人類が安心したのも束の間、細菌は素早く逆襲を開始しました。抗生物質の効かない「耐性菌」が出現してきたのです。 ペニシリン以前から用いられていた化学療法剤として、サルファ剤があります。このサルファ剤は終戦直後の日で赤痢が流行した際、有効な治療薬としてあちこちで多用されました。ところがしばらくしてサルファ剤の効かない赤痢菌が出現し始め、1950年頃にはもはや赤痢菌の80%がサルファ剤耐性菌となってしまったのです。他の病原菌でも事態は同様で、現在では医療の現場でサルファ剤が使われることはほとんどありません。 この赤痢の流行はストレプトマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンといった抗生物質

  • 抗生物質の危機(1)~魔法の弾丸の発見~

    ☆抗生物質の危機(1) ~「魔法の弾丸」の誕生~ ペニシリンをはじめとする抗生物質は、今やそこらの病院へ行けば、数百円で処方してくれるごくありふれた薬となりました。しかし現在、その抗生物質に思いもかけなかった危機が迫っています。今回は、抗生物質の歴史と現在にスポットを当ててみましょう。 1928年、イギリスのセントメリー病院に勤務していた細菌学者フレミングは、病原菌の一種であるブドウ球菌の培養実験を行っていました。ある日彼は、培養シャーレの中に1ヶ所だけ菌が成育していない場所があることに気づきました。調べてみるとそこには、実験中偶然まぎれこんだアオカビが生えていたのです。これはアオカビが、ブドウ球菌を殺す何らかの成分を作っているためではないか、とフレミングは直感しました。これこそが後に「フレミングの神話」とまで呼ばれた奇跡の始まりでした。 1940年、化学者フローリーは努力の末、この成分を

  • タキソールの話

    全合成というジャンルがあります。主に天然から産出される複雑な分子を、小さな分子から人間の手で一歩一歩組み上げることです。来は、天然からは少量しか得られない貴重な化合物の構造を解明する、あるいはそれを人工的に供給するというのが目的ですが、現代ではむしろ新しい反応の有効性を示し、また磨くための舞台としての役割が大きくなっているように思われます。もちろん注目を集める化合物を世界で初めて合成したとなれば大きな名誉となりますし、特にアメリカなどではこうした実績が研究費獲得にダイレクトに結びつきますので誰もが血眼にならざるを得ません。今回の主役であるタキソールは、過去もっとも激しい合成競争が繰り広げられたことで知られる有名な化合物です。 タキソールは1971年、アメリカ保健省の大規模な抗がん剤探索プロジェクトにより、イチイの一種の樹皮から発見されました。タキソールは乳ガンなどに対して極めて有望な薬剤

  • プロテアーゼ阻害剤(2)

    ☆プロテアーゼ阻害剤(2)~コンピュータによる医薬のデザイン~ 前回、合理的な分子設計によってACE阻害剤がデザインされたことを述べました。しかし現代の創薬の現場にはさまざまな技術が投入され、大きく様変わりしています。今回はそのあたりの話を。 創薬をめぐる新しい波の中でも最も大きなものは、やはりコンピュータの導入でしょう。かつては様々な分子を闇雲に合成しては試験し、試行錯誤を繰り返すしかなかったものが、現在では標的タンパク質を3次元のグラフィックスとして表示し、画面上で薬剤の分子をはめ込んで最適な化合物をデザインできるように変化してきたのです。 タンパク質は非常に複雑な立体構造をとっていますが、NMRやX線結晶解析などと呼ばれる手法を使えば具体的にタンパクがどういう構造で、どこが活性中心かといったことが解明できるようになります。タンパク質に薬剤分子がはまり込んだ状態を解析し、「薬剤のこの場

  • プロテアーゼ阻害剤~医薬を設計する~

    ☆プロテアーゼ阻害剤(1)~医薬を設計する~ 前回は、タンパクを壊すタンパク・プロテアーゼの働きを紹介しました。これらは生命にとって極めて重要な酵素ですが、医薬の中にはそのプロテアーゼの働きを止めることによってその効能を発揮するものがいくつか存在しています。今回はそのプロテアーゼ阻害剤の話を。 健康な状態を一定の速度で走っている車に例えるなら、病的な状態というのはスピードが出過ぎたり、左右に進路が偏っていったりする状況でしょう。これを調整するためにブレーキを踏んだり、ハンドルを切ったりして事故が起こるのを防ぐのが医薬の役割ということになります。当然健康な状態なのに余計な薬を飲んだり、必要な以上の量の薬を飲んだりすれば、せっかくの正常なバランスが崩れることもありえます。薬がある一面では毒である、というのはこういうことです。 さてこうしたバランスが崩れた状態のひとつとして、高血圧症があります。

  • 日本薬学会

    薬学会第145年会(福岡)(2025年3月26日(水)~29日(土)) 福岡国際会議場、マリンメッセ福岡B館、福岡サンパレス

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